きゃあ!波形とハコがずれるてる!!そんなときは…

翻訳者の環境づくり

こんにちは。映像翻訳者で薬膳研究家のTUGUMI(つぐみ)です。

字幕翻訳のお仕事をいただいてすぐの頃、支給されたSDBをSSTで再生すると、音と波形がスライドしたように同じ間隔でずれているデータがあり、ものすごく焦ったことがあります。
スポッティングの仕方は授業で講習を受けましたが、「こんな感じですよ~」と字幕翻訳ソフトBabelを使ってざっと教わっただけだったので、SSTに全く自信がない私、音と波形がずれているなんて大パニックです。

何かの間違いでは?と何回もデータを開きなおしたり、パソコンを再起動してみてもどうにも変わらない。どうしたらいいの!?

「こんなことも知らないなんてこの人大丈夫?」とダメのレッテルを貼られてしまうんじゃないかと怖くて、担当者さんにも聞くことができず…

1日目は疲れ果てその日の作業は終了、2日目もどうにも分からない。問題のないデータを先に進めはしたものの、いつまでもほうっておくこともできず、調べに調べたあげくなんとか解決策を見つけることができました!

ここでは3つの方法をご紹介します。どれが原因か分からないので方法1から順に試していくといいかなと思います。

方法1、過去の波形データを削除

SSTには便利な機能があって、自分で保存していなくても定期的にデータを自動保存してくれています。過去の波形データも保存されているのですが、たまたま新しいファイルと過去に保存されたファイル名が同じだったりすると、過去のファイルの波形データを読み込んでしまっていることがあります。

なので波形データがおかしい!と思ったら、過去の波形データを削除してみたり、新しい映像ファイルの名前を変更すると波形とハコのズレ問題を解決できることがあります。

保存された波形データを削除する方法

1、[設定]→[ユーザー設定]→[メンテナンス]タブにある[波形データファイルの保存先フォルダ]のフォルダを開く。

2、同じファイル名のデータを削除する。

この自動保存システム、いざというときにはすごくありがたいんですが、古いデータがどんどん溜まってパソコンの動作が遅くなってしまうんです。定期的に波形データやバックアップを削除するようにするといいと思います。

方法2、フレームタイプが正しいか確認

念のため、フレームタイプが正しいかも確認しましょう。

担当者から指示があったのなら指示どおりになっているかを確認します。正しいフレームコードが分からない場合は判別方法があります。私はこれが苦手でフレームコードを確認しなければならないときはドキドキします…

CANVASs社のサイトに詳しい確認方法がありますので、コチラでご確認ください。

方法3、ハコのズレを調整

私の場合は、波形とハコがスライドしたように同じ間隔でズレていました。そういう場合は、これを試してみるとよいと思います。

まず設定画面を開く前に、正しいIN点(移動先)のIN点のタイムコードをメモしておきましょう。

1、1番最初の字幕にカーソルを置く。

2、[字幕]→[字幕移動]→字幕移動の設定画面が表示されるので[現在選択されている字幕のインフレームを基準に字幕を移動]→[選択されている字幕以降を移動]を選択

3、控えておいた移動させたい正しいIN点(移動先)のタイムコードを記載してOKを押す。

こうすることで、すべての字幕を長さや間隔は同じまま一斉にずらすことができます。
CANVASs社の説明はコチラ

やってしまえば簡単なことなんですけど、最初はわけが分からず本当に焦りました。今だったら、何日も悩むくらいならさっさと恥を忍んで担当者さんに聞きますけどね。

だって、時間をおいて聞いて「今頃!?」と信頼を失うほうが困りますし、早く解決してよい字幕を上げたほうがいいですから。まあ、とにかく解決してよかったです。

SRTからSDBへの変換したデータのズレ

それからしばらくしてのこと。あるとき映像データとSRTデータが支給され、字幕はSRTデータを開いてSDBの原文ウィンドウへ原文を貼り付けないといけない案件がありました。これがなかなか手間がかかるんです。それまではSDBに機械的にスポッティングされて字幕も入っているSDBデータをもらっていたので、想像以上に時間がかかり、うろたえました。

何とかならないものかといろいろ調べてみると、SRTインポートオプションを購入すればSRTからSDBに変換できるそう。自分で購入するのは厳しいけれど、もしかしたら映像翻訳会社さんなら持ってるかも!とひらめきました。SRT→SDBデータに変換していただけないかお願いしたところ、快く対応してくださいました。

「いやあ、お願いしてよかった♪」とルンルンでデータを開けると、波形とハコが大きくズレてる!!

「いやいや、大丈夫。私はハコずれの対処法を知ってるもんね♪」そう思って前述の字幕移動をやってみたら、一か所が合っても後ろにいけばいくほどまたどんどんズレていく…きゃあ!また大パニックです。

映像翻訳者さんに状況を説明したところ、「今回のSRTデータ自体が海外の映像フレームで作られているのか、今回の映像のTCと合わず、これ以上は調整できない」とのこと。そして、「映像とハコが合わないことは理解されているかと思ってました」と。恥ずかしい!

ほんとに無知で恥ずかしい思いをしましたが、勇気を出して聞いたおかげで、そういうことがあるということが分かりました。

しょうがない、残念…と諦めかけたとき、映像のスポッティングを取ってSRTデータからスクリプトをコピーするよりは、波形とハコがずれていても字幕が入ったSDBデータをまめに字幕移動して調整していけばいいのでは!とハッとひらめいたんです!私ってエライ!

…でもやってみるとキリがありませんでした。字幕移動してスポッティングを微調整して、字幕移動してスポッティングを微調整して、あれ、めっちゃずれてる。また字幕移動して…あれ、ずれてる。えっと…今、どこだっけ?
そのうち慣れるはずだと思ってかなり粘ってやってみたのですが、何度も何度もやってると地味に頭を使うし、結構疲れるんです。結局「こ、これは無理だ…」となりました。

<教訓>
あがいてSRTからSDBへ変換するより、映像からスポッティングを取り、SRTデータからスクリプトをコピーしたほうがはやい

随分遠回りしましたが、またひとつ勉強になりました。皆さんは決して私みたいなムダな作業をしないでくださいね。

タイトルとURLをコピーしました