
こんにちは。映像翻訳者で薬膳研究家のTUGUMI(つぐみ)です。
以前、「中国語筋トレ100読練習法」をご紹介しました。今回は、「100読練習法」の英語学習への応用をご紹介したいと思います。
「100読練習法」は中国語学習者向けの勉強で、ひたすら声に出すのを繰り返すことで脳に、そして無意識の領域に「音声と意味のペア」を刻みつけていき、速度も発音もかなりネイティブに近づくことができるというものです。
中国語学習の場合、手順はこうです。
日本語訳を読んで意味を把握
引用元:『中国語筋トレ100読練習法』木本 一彰
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ピンイン文朗読(正確に読める速度で)+シャドーイング…..25セット前後
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漢字文朗読(目指せネイティブ超え)+シャドーイング…..25セット前後
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これって英語に応用できるのではないかと思い、試してみたのでご紹介します。英語への応用のためのオリジナルテキスト作りについての内容です。

<ステップ1> 発音記号を理解、発音を習得
「100読」をする前に、まずは発音記号を理解し、発音の仕方を習得する必要があります。まずは発音記号と発音の基礎を確認。この本あたりが分かりやすくて有名です。
それから、「英語ガク習塾」これすごいですね。もっと早く知りたかった!と思いました。GACKT(ガクト)さんの本気度が伝わってきます。かなり好感度が上がりました。
<ステップ2> 音声付き英語テキストを用意
発音ができるようになったら、音声付きの英語のテキストを1冊用意します。音声付きのものなら何でもいいと思うのですが、私は以前TOEICの勉強をしたときに薦められたこの本を使いました。口を慣らすためのシャドーイングにも使っています
<ステップ3> Wordで表の挿入→「列数」を2に設定
Wordを開き、表の挿入→「列数」を2に設定し、フォーマットを作っておきます。
<ステップ4> 英文をデジタル化
次に、テキストの文字をデジタル化します。デジタル文字のある優良テキストを探すのが面倒くさいので手持ちの『英語 徹底耳練!』を選びましたが、紙はこのデジタル化の作業がちょっと手間ですね。さすがに手打ちはやっていられませんから、私はiPhoneにOCR(文字認識)カメラアプリを入れました。このアプリを使って写真を取ると文字がデジタル化されます。他にもOCRアプリはたくさんあるので、使いやすいアプリを使うとよいと思います。
CamScanner- スキャン、PDF 変換、翻訳 カメラ
<ステップ5> Wordの左側に英文をコピー&ペースト
Wordの左側にデジタル化した文字をコピー&ペーストしていきます。
<ステップ6> Text to Phoneticsで英文を発音記号に変換
発音記号ですが、一つ一つ調べていたら日が暮れるので、ある程度まとまった文を発音記号に一括変換できないかと探していたら、よいサイトが見つかりました。
PhoTransEdit Online Text To Phonetics
このサイトに英文テキストを入れてShow transcriptionをクリックすると、発音記号が表示されます。
ここで、注意したいのが、ブリティッシュイングリッシュの発音かアメリカンイングリッシュの発音か、選ぶ必要があるということです。
そのため、集中的にブリティッシュイングリッシュを習得したいのか、アメリカンイングリッシュを習得したいのか、はっきりさせたほうがいいと思います。そういう意味では『英語 徹底耳練!』はいろんな訛りを敢えて混ぜているので、ベストではないかもしれませんね。
私はアメリカンイングリッシュでよいと思っているので発音記号もアメリカンイングリッシュのGeneral American (GA)を選んでからShow transcriptionをクリックします。
Choose the type of pronunciation you are working with:
○Received Pronunciation (RP)
●General American (GA)
※一括変換すると、ときどき発音記号がおかしいところも出てきます。おかしいと思われるところは、短い単語で変換し直すか、他の英単語サイトでチェックしてくださいね。発音記号一括変換で完璧を求めるのは難しいので、あくまで補助的なものとして参考程度に使われるとよいと思います。
<ステップ7> Wordの右側に発音記号をコピー&ペースト
変換した発音記号をWordの右側にコピー&ペーストで入れていきます。
左が英文、右が発音記号と対になるようにします。
<ステップ8> 100回声に出して練習する
あとは、ひたすらアレをするだけです。そう、ストイック「100読」です。
日本語を読んで意味を把握した後、発音記号を見て朗読→シャドーイングを1セットとして25セット、英文を見て朗読→シャドーイングを1セットとして25セット。全部で100回ひたすら声に出し続けます。ストイックに楽しみましょう。
すべて発音記号にする利点は、発音記号を途中でいちいち調べる手間がいらないことと、分かっているつもりだけど正しく発音できていない単語に気づくことだと思います。音だけでもまねられるかもしれませんが、目で確認すると明確になります。
例えば、Businessは発音記号ではˈbɪznəsです。カタカナで「ビジネス」と書きますが、「ジ」なんて発音しませんよね。Openは発音記号ではˈoʊpənで、カタカナで「オープン」と書きますが、「オー」ではなくて「オゥ」です。英語の発音全体を見直すよいきっかけになると思います。特に日本語でカタカナになっている英語は発音記号をチェックしてみると、それまでの自分の発音が恥ずかしくなります。
発音記号をチェックしながらシャドーイングと音読するだけでも十分意味があると思いますが、100回読めばもう最強だと思います。
もう一度手順をまとめます。
<ステップ1> 発音記号を理解、発音を習得
<ステップ2> 音声付き英語テキストを用意
<ステップ3> Wordで表の挿入→「列数」を2に設定
<ステップ4> 英文をデジタル化(OCRカメラアプリなどが便利)
<ステップ5> Wordの左側に英文をコピー&ペースト
<ステップ6> Text to Phoneticsで英文を発音記号に変換
<ステップ7> Wordの右側に発音記号をコピー&ペースト
<ステップ8> 100回声に出して練習する
ただ、準備にかなり手間がかかるので、マメな人向きかもしれません。英語のテキストをわざわざそこまで時間をかけるて改良するのも、、、という人は、デジタルテキストがあるスクリプトを使うとよさそうです。また、完全コピーしたい大好きな映画のスクリプトなら、手間もかからず気軽に取り組めるかもしれませんね。
問題はどうすれば継続できるかですよね。私も英語は必要に迫られていないため、忙しくなると後回しになってしまいます。一番いいのは「1日のこの時間は英語100読」と決めてしまうことだと思います。明確な目標設定をして1日のルーティンに組み入れてしまいましょう。
できない日があっても、やらない日が続いてしまっても、やらないよりやったほうがいいのは間違いないありません。続けられなかったからもうダメだとは思わず、できる時にやる、あとはどうすれば習慣化できるかを探していきましょう。毎日続けやすい時間とか、何かの前とか後にすると決めてしまうとか、作業の合間の気分転換として声を出すとか、きっと何かあるはず。
この英語版「100読」を続けてみて感じたのは以下のようなことです。
・発音するときに本当にこれで合っているのかなという迷いがなくなり発音しやすくなった。
・どうしてもカタカナにつられて日本語っぽい発音になっていた単語の正しい発音を確認でき、スッキリした。
・喉の奥から声を出しやすくなった。
・英語が聞き取りやすくなった。
もっと続けたらさらに違う変化を感じられると期待しています。
ああ、英語をもっと自由に操れるようになりたい!私もまだまだ模索します。
この練習法の元になっているのはこちらの本です。中国語学習者向けですが詳しい練習方法や考え方はこちらをご参考に。最強の語学練習法だと思います。
