先日、パリ開催の2024年夏季オリンピックが閉幕した。日本選手団は海外開催の大会としてはともに過去最多となる金メダル20個、メダル総数45個を獲得した。
日本中がメダルラッシュのニュースに沸き立つ中、北京で開催された2022年冬季オリンピックのことを、ふと思い出した。五輪開催中に中国で話題を集めた日本人が3人いたという。
1人目はフィギアスケートの羽生結弦選手。オリンピックの舞台で勝つことだけを重要視してきた中国人にとって、羽生選手はとても印象深かったそうだ。優勝こそ逃したものの、その才能と思いやり、姿勢に感動し、ますます多くの中国人がファンになったという。羽生選手は中国人のスポーツの見方をも変えてしまった。
2人目はスノーボード金銀メダリストの蘇翊鳴(スー・イーミン)選手を指導した佐藤康弘コーチ。日本人でありながら中国人選手のために全力を注ぎ、蘇選手のメダルが確定した際には抱き合って涙を浮かべる姿が感動を呼んだ。
実は佐藤コーチが有名になった理由は他にもある。蘇選手のメダル獲得をきっかけに佐藤コーチに興味を持った人たちがネット検索をして目にしたのが蘇選手らを紹介する動画だ。その中で佐藤コーチが、「牛B(にゅーびー)」「我操」などの少々下品なスラングを使っているのがウケてとても話題になった。動画内で「にゅーびー」には「クソイケてる的な」という日本語の説明が付けられている。動画から彼らの厚い信頼関係や仲のよさが伝わってきてとても微笑ましい。
3人目は日本テレビの辻岡義堂アナウンサー。北京五輪マスコット「ビンドゥンドゥン」は当初、全く人気がなかった。ところが辻岡アナがビンドゥンドゥン愛全開でピンバッジコレクションを披露したり、選手そっちのけでビンドゥンドゥンにインタビューする様子が面白いと話題になった。
それに影響されて中国の人たちも「あれ?ビンドゥンドゥンってかわいかったっけ?」となり、あっという間にグッズ入手困難なほどの大人気になった。
さらに辻岡義堂アナが自身の名前を文字って「義堂」+「ビンドゥンドゥン」→「ギドゥンドゥン」と名乗ったことからこの愛称が広まった。本人もこのフィーバーぶりにはちょっと戸惑い気味だったようだが、中国地元誌によると「ギドゥンドゥン」の経済効果はなんと450億円にも上るという。
この3人の日本人を通じて中国人の日本に対する印象が「優しく」なった、そう友達は言った。日本政府が多額の資金援助や特別な技術協力をしたワケでもない。日本人ひとりひとりの姿勢や行動が中国人の日本に対する印象に変化をもたらしたのだ。それと同時にオリンピックという世界的なスポーツ祭典の影響力の大きさを感じずにはいられない。

金メダル獲得で抱き合って涙を浮かべる2人の様子のリンクはコチラ
佐藤コーチが蘇選手ら若き選手を紹介する動画のリンクはコチラ