たまたま目にしたテレビ番組「あの本、読みました?」がめちゃめちゃ面白い。
読書好きの鈴木保奈美(以下、すべて敬称略)が人気作家をゲストに招いたりして本についてマニアックに語る番組です。「へえ、鈴木保奈美って読書好きだったんだ」という驚きもありましたが、もっと衝撃だったのはこの番組の内容です。超マニアック!

その時のテーマは「本の名脇役『文庫解説』の魅力とは!?」。文庫本の巻末についている「文庫解説」について、ゲストの直木賞作家・朝井リョウが熱く語っていました。
私はそれまで、文庫解説を少し読んで合わないと思ったら最後まで読まないことがよくありました。小説を読み終えて余韻に浸っているのに、解説で急に文体が変わってしまうのがあまり好きではなかったからです。
ですが、番組を通して朝井リョウの文庫解説へのこだわり、依頼する側もされる側もかなりの熱量で取り組んでいることを知り、文庫解説の認識が大きく変わりました。
番組で紹介されているのを見て、私が思わず買ってしまった朝井リョウの文庫解説がコチラです。
「デビュー作にはその作家のすべてが詰まっている」というのはよく聞く話だ。だが、窪美澄という作家に限っては、どの作品からも「すべてが詰まっている」と思わせられる凄みがある。常に出し惜しみせず、もう一滴も滲まないというところまで心を振り絞って書いている――本人には笑われてしまうかもしれないが、読むたび勝手に、そんな印象を抱く。
引用元:『じっと手を見る』窪 美澄 文庫解説 朝井リョウ 「あの本、読みました?」
「すべてが詰まってる」「もう一滴も滲まないというところまで心を振り絞って書いている」そう思わせる作家の作品を読んでみたい!朝井リョウの文庫解説を読んでみたい!と思いませんか?
もともと朝井リョウについては、『桐島、部活やめるってよ』の人でしょ?くらいのレベルでしか知りませんでしたが、純粋に文学作品を愛していて、それを素直に表現する人だったんですね。それに、直木賞作家なのに高尚ぶるところがまったくないんです。朝井リョウの熱弁を聞いて、これからは文庫解説を最後までちゃんと読もうと思いました。
朝井リョウは書評がテーマの回でも登場するのですが、こちらもとても面白いです。文庫解説や書評を真剣に書いている姿勢が伝わってきます。文庫解説の回の冒頭で「文庫解説読む派ですか?読まない派ですか?」という問いかけがあるのですが、朝井リョウが「読まない派があるの!?」と驚いていて、思わず「あ、スミマセン!」となりました。
文庫解説のゲストとしてほかに芥川賞作家の平野啓一郎も登場します。平野啓一郎は以前、【WEEKLY OCHIAI】で、「自由をアップデートせよ」というテーマで落合陽一と話しているのを見て興味を持っていた作家でした。京大出身者だけあって考えが深くて穏やかなのが印象が深かったのですが、その時は本を買うには至りませんでした。外したくなくて慎重になっていたのです。
あれからずいぶん経ちましたが、「あの本、読みました?」に平野啓一郎がたびたび登場したり、何度も話題に上ったりするのを見ているうちに、再びじわじわと気になっきて、とうとう『マチネの終わりに』を購入してしまいました。結果、買ってよかったです。平野啓一郎の流れるような美しい文章に惚れ惚れしました。ああいう話し方をする人はこういう文章を書くのね、と妙に納得です。
プロの作家の口から、「名著!(パチパチ)」「めちゃくちゃ面白い!」「三島由紀夫に恋に落ちた」などの素直な言葉や、本にまつわるエピソードを聞くと、これはもう買って間違いないだろうと思わせてくれます。また、大きく影響を受けた作家や、作家になろうと思ったきっかけとして太宰治や三島由紀夫がよく上がってくるので、改めてちゃんと読みたくなりました。
作家さんの言葉ってなぜこんなにすっと入ってくるんでしょうね。語りが美しく惹きつけられます。比喩なんかさすがと思う表現がたくさんあって面白い。
例えば、文庫解説を依頼する側がどれだけ熱くなっているかを朝井リョウが表現したのがコチラ。こんな表現、普通に思いつきます?
依頼される側としては、昼下がりにコーヒーとか飲んでたら急に激重のボールをボーンって投げつけられるみたいな、ぐらいの温度差があるくらいこっちはもうアツアツ
引用元:朝井リョウ「あの本、読みました?」
最近は小説を読む機会がめっきり減っていたのですが、この番組をきっかけに読みたい本がどんどん増えています。
ゲストは人気作家だけでなく、編集者、音楽プロデューサー、翻訳家とさまざま。テーマも毎回違います。本の見方が変わったり、新しい発見がきっとあるはず。
「マニアックすぎる~、この番組」
「そういう番組です」
そんなゲストと鈴木保奈美のやりとりも微笑ましい。
過去の放送回も見たいなと思っていたら、なんとAmazon Prime Videoで見られるんです!映画やドラマだけでなくこの番組をコンテンツに入れるなんて、Amazonやるな!と思ってしまいました。文庫解説はエピソード3(17分15秒あたりから)です。また、最新回はコチラから無料で見ることができます。
「あの本、読みました?」お勧めの番組です。本好きの人も、あまり読んだことはないけど何か本を読んでみたいと思っている人もぜひ!