見上げた北京の青空

随想録

 中国は灰色の世界だった。

 特に転職で上海から北京に移ってからは、北京ですっきり晴れた空を見られる日はほとんどなくなっていた。

 冬になると、暖房の影響もあり、大気汚染が深刻で、気汚染指数は、「非常に有害」を表す紫色、「危険」を表すエビ茶色の日は怖くて外に出られなかった。

 室内では空気清浄機、外出時には防塵マスク。数十メートル先も見渡せない。

 どんより曇った空を見て思ったことは

「世紀末だ…」

 そんな北京で、何事もなかったかのように晴れ渡った青空が突然、顔を見せることがある。

「わあ!」

 思わずスマホを取り出して空をパシャリ。気付けばすぐ横でもパシャリ。みんなパシャリ、パシャリ。

 SNSは青空の写真で溢れる。

 その光景に、今度は

「平和だな」

としみじみ感じた。

 北京オリンピックを目前にした北京では深刻な大気汚染対策として個人宅でも薪の使用が禁止され、かまどがコンクリートで埋められたというニュースを聞いて、この「北京の青空」を思い出した。

 春節に打ち鳴らされていた爆竹も、今年は北京市内で全面禁止だとか。

 どうか北京に青空が続きますように。

(2022年2月2日執筆)

2017年5月、北京にて。

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